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如来の直説

「おほよそ八万四千の法門は~」の前後を拝読するの続きです。

「如来の直説」ということについて、『一念多念文意講讃』(梯實圓著 永田文昌堂)331-334頁から説明を引用します。

 「直為弥陀弘誓重といふは、直はただしきなり、如来の直説といふなり。諸仏の世に出でたまふ本意と申すを直説といふなり」といわれたものからあとは、「直為弥陀弘誓重」についての聖人独自の解釈が展開される。すでに述べたように法然聖人が『阿弥陀経』をもって出世本懐の経と定められたのも、この一句があったからであろう。親鸞聖人は「化身土文類」では、この句によって『阿弥陀経』の隠彰義を顕す証文とされていた。ともあれここでは法然聖人の意向を承けて、諸仏がこの世に出現された本意は、阿弥陀仏の本願の名号を説くことにあったという諸仏の出世本懐を顕す文として釈顕される。それはまずここに「直」という文字が用いられているからであった。そこでまず「直」についての字訓をあげられる。

 「直はただしきなり、如来の直説といふなり」といわれたものがそれである。「ただしきなり」とは「正直」のことである。ところで仏の教説について正直という場合は、諸法実相の理にかなった真実ということで、仏の正意、本意を意味していた。また仏がその悟りの内容をあるがままに説き示された仏の本意にかなった教説、すなわち随自意真実の教説という意味を顕していた。それを「如来の直説」といわれたのである。『法華経』「方便品」(『大正蔵』九・一〇頁)には「正直捨方便、但説無上道(正直に方便を捨てて、ただ無上道のみを説く)」といわれていた。未熟の機を誘引調熟するために一乗を分かって三乗を説くが、機根が熟すれば、随他意の方便教を捨て、三乗を開会して随自意真実の一乗法のみを正直に説くというのである。このように方便を捨てて正直に仏の本意にかなった真実の法を説くことを「直説」というのである。すなわち直説とは如来の本意にかなった教説であることを顕す意味があった。

 このように「直」ということばには、「正直」とか「直説」という、如来の正意にかなって説き顕された随自意真実の教説を顕す意味があったから、法然聖人も親鸞聖人も、この句を出世の本意を示す言葉として注目されたのであった。『愚禿鈔』下(『註釈版聖典』五三九頁)に、二河譬に表された招喚の勅命のなかの「直来」の「直」を釈して、
「直」の言は、回に対し迂に対するなり。また「直」の言は、方便仮門を捨てて如来大願の他力に帰するなり、諸仏出世の直説を顕さしめんと欲してなり。
といわれていた。この釈は明らかに『法華経』の「正直捨方便」の句を意識しつつ「直」の語を釈されていたことがわかると同時に、それが『法事讃』の「直」の語を釈した今の文と全く同じであることもわかるであろう。

(中略)

 「誓願の名号、これをもちゐさだめなしたまふことかさなれりとおもふべきことをしらせんとなり」というのは、上来の「為」と「重」の字訓釈を結んで、「弥陀弘誓重きが為に」の文意を通釈されるのである。すなわち、諸仏がこの世に出現された本意は、阿弥陀仏の本願の名号を用いて、凡夫の往生を定め為したもうためであった。そのために名号のいわれを重ね重ね説き示されたのである。その甚厚なる思し召しを思いしれと教えられた言葉であるというのである。
 
 ここで『法事讃』の釈文は一時中断する。それはこの「直為弥陀弘誓重」によって、出世本懐が取りあげられたから、そのこころをさらに深く究明するために『大経』の発起序の文をとおして出世本懐論を展開し、さらに出世本懐の法門である本願の名号の徳義を『浄土論』の不虚作住持功徳の文意によって展開されるのである。そうした釈義が終わった後で、再び『法事讃』に戻り、「致使凡夫念即生」の釈が為されるのである。



「如来の直説」「諸仏の本意」とは、阿弥陀仏の本願の名号を用いて、凡夫の往生を定め為したもうことでした。そのために名号のいわれを重ね重ね説き示されたのです。親鸞聖人・蓮如上人も、名号のいわればかりを説き示して下されています。「如来の直説」「諸仏の本意」だからこそ、両聖人は、ひたすら弥陀の名号による救いを勧めていかれたのです。

この後、『一念多念証文』では、『大経』の発起序の「如来所以 興出於世 欲拯群萌 恵以真実之利」
を釈して、出世本懐論が展開されますが、その中で
「おほよそ八万四千の法門は、みなこれ浄土の方便の善なり。これを要門といふ。これを仮門となづけたり。」
の御文が出てくるのは、非本懐の教法が何であるのか、またそれは真実の教えとどんな関係があるのかを明らかにする必要があったからです。親鸞会がいうように、要門の実行を勧めるために説かれたわけではないことは、お聖教を順番に拝読していけば分かることだと思います。

次回は、『大経』の発起序の釈について取り上げたいと思います。
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名号は 如来の御名と 思ひしに わが往生の すがたなりけり
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